拾われた猫。Ⅱ
「……は?」
ちょっと遅れた返事は、震えと羞恥を抱いていた。
「総司がよく聞いてくるんだ。
『左之さんのこと好きなの?』って。
でも私はそういうのよく分からない」
手ぬぐいを箪笥から出して、机に飛び散った墨汁を拭く。
トシは咳払いをして、「すまねぇ」と詫びる。
「分からないなら、それじゃ駄目なのか?」
「…総司は、答えを探してるから」
それがどうしてなのかは分からないけど、今は少しでも総司が生きたいと思ってくれればいい。
難しい顔をして頭を抱える彼は今にもパンクしそうな様子だ。
「色んな人にも聞いてくる」
「あぁ、そうしてくれ」
頭を抱えるトシを置いて、屯所内をグルグルすることにしたけど、誰に聞いても難しい顔をするだけだった。