拾われた猫。Ⅱ
結局、答えは出ないまま夕飯の時間になって、寝るだけになっていた。
「今日は満月だよ、ノア」
空を見ながらノアに問いかけると、それに答えるように「にゃぁ」と鳴いた。
縁側を歩いていると、1人で酒盛りをする人が見える。
その隣まで行くと、私に気づいてフッと笑ったレッドブラウンの彼。
「左之…」
「一緒にどうだ?」
軽く盃を上げる左之に、クスリと笑って隣に座った。
「と言っても、盃は一つしかないでしょ」
「まぁな」
私の頭にポンッと手を置いて、「酔うとお前は怖いからな」と苦笑した。
何のことか分からないので、首を傾げる。
「いや、お前はそこに居てくれるだけでいい」
「…何、それ」
優しい笑顔に温かい手。
動揺してしまうのはどうしてだろう。