拾われた猫。Ⅱ
和らいでは激しく、痛みが私を襲う。
「…ぅっ……」
小さな声が漏れる。
いっそのこと気絶出来れば楽になるのだろうか。
慌ただしい足音が聞こえる。
それは私の前で止まった。
「雨!!!」
大きな叫びに抱き寄せられて、温かい温度に包まれた。
眉間に皺を寄せた平助の顔が薄らと目に映る。
思っていたよりも力強い腕で横抱きにされて、道場を出た。
不思議だ。
私よりも少し高いだけなのに、私を抱える程の力があるんだ…。
そういえば左之も私を軽々と持ち上げていた。
フワフワと心地よく揺れる腕の中で、私は意識を手放した。