拾われた猫。Ⅱ
〝ノア〟
「随分と辛そうだな…」
夢の中の私の頬を辛そうに撫でる。
その手に自分の手を重ねた。
「今は…痛くも辛くも無いよ」
ぼーっと彼の顔を見ながらそう言うと、彼は少し安堵したように微笑んだ。
「自身が欠ける…、それはその苦しみが何倍にもなって、お前に帰ってくるという事だ…」
眉を下げてポツリポツリと話し始める。
彼の言葉をじっと聞いていた。
「お前自身死にはしない。
けれど、今のように瀕死の重症になる。
そんな中で戦えば、命は無い」
声に重みが増したように感じたのは気のせいなのだろうか。
彼は私が傷つくことを…恐れている。
彼の頭をそっと撫でる。
そうしないと、彼が壊れてしまうような気がした。
目を見開く顔が幼くなった気がした。