拾われた猫。Ⅱ
「私は総司を助けたこと後悔してないから」
見開いていた目はきつくつり上がり、撫でる私の手を掴んだ。
「…雨」
悲しんでいるような、苛立っているような。
そんな声でも私の決意を揺るがせなかった。
「…もう誰一人失わないために、私のために、自分の力を使うの。
どれだけ傷ついても構わない」
感情が混濁する彼の目を必死に見つめる。
彼が止めても私はきっとまたこの力を使うその時が来る。
出来ない約束をするより、私の心を知っていてほしい。
無関係のはずの彼に、こんな感情が生まれる意味が分からない。
けれど、彼には言わなければいけない。
「…頑固な所もよく似ている」
眉を下げて笑った彼の瞳は、晴れた気がした。
「似てる?
…誰に?」
私の問いには笑ってみせるだけで、何も答えてくれなかった。