拾われた猫。Ⅱ
「雨」
頬にあった手をするりと取って、またふわりと浮かんだ。
「怪我は一度で治るが、病気はそうではないものがある。
沖田総司は完全に治ったわけではない。
けれど、彼に手を加えれば同じような苦しみは避けられない」
眉を下げたまま笑っている彼はきっと私の答えをもう知っている。
心配を滲ませるその表情に、不敵に笑ってみせる。
「余裕」
その瞳は限界まで開かれる。
そして溢れんばかりの笑みが私を見る。
「やっと私に笑いかけてくれたな…」
「そうだったっけ?」
首を傾げると呆れたような笑顔になり、私の頭を軽く撫でた。
「…雨、名残惜しいがそろそろ時間だ」
彼はまた霧の中に消えてしまった。