拾われた猫。Ⅱ
「んで!
いつからなんだっ?」
機嫌が直ったのか、逃がさないと言うように、首に腕を絡めたまま部屋の中に入る。
原田左之助の部屋にも関わらず、そのまま布団の上に座り込んだ。
彼を睨みつけながらも、大きく溜め息をついた。
原田左之助は永倉新八の性格をとてもよく知っている。
酔うと面倒なこと。
好奇心が強いこと。
そして仲間思いなこと。
「いつからって…。
俺も自分でもよく分からねぇんだがな」
自嘲気味にククッと喉を鳴らしながら、お猪口に注がれた中身を見つめる。
透明に揺らめく、何にも染まらない…。
そんなことを思いながら、また口角を緩めた。
「あいつは自由だ。
何にでもなれそうで、…どこかに繋いでおかないと逃げちまいそうだ…」
消え入りそうで、どこか願いを込めたような声が、永倉新八の酔いを少しずつ覚ましていく。