拾われた猫。Ⅱ



「お前がんなこと言うなんざ、珍しい事もあるもんだな」



嬉々とした表情に原田左之助は首を傾げた。




「そうか?」

「そうだって。

左之は女にゃ囲まれるが、興味が無ぇみてぇに冷めてたからな〜」



ケラケラと笑う彼に、自分でも納得した。



自分の過去を少しずつ紐を解いていくが、本気になれた女など思いつかなかった。




「そんだけ、お前の中じゃ雨ちゃんは特別なんだろ?

だけど、敵は多いぞー」




からかい口調の彼は相変わらずだと感じる原田左之助。



永倉新八という男は、惚けているように見えるが、原田左之助が知る彼の観察眼は侮れない。



無意識中なのか、意識中なのか、何でもないように相手の本質をピタリと当ててしまうことが多々あった。




「……お前には昔から敵わねぇな」

「今更知ったのかよ」




再びケラケラと笑う永倉新八に、静かに微笑み返した。




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