拾われた猫。Ⅱ



「言う事を聞かせられるのは香月だけか?」



顎に手を当てて、猫又を見ながら神妙な表情をするトシにコクリと頷く。



一には確かに敵意を示さないノアだが、言う事を聞かせるまでには至らない。




「…猫又か…」



それだけ一言呟くと、私の方に向き直る。




「しっかり面倒見ろよ」



私にそう言うと、踵を返して戻って行った。



そしてノアは小さな姿に戻って、私の肩に乗った。




野次馬も興味が失せたのか、各自戻っていった。




私もノアとともにトシの部屋に向かおうとしたが、総司に引き止められた。




「雨ちゃん」


肩を叩かれて、弾かれるように振り向いた。



首を傾げる私に、総司と平助が微笑む。



そんな彼らに〝?〟だけが頭に浮かぶ。





「俺ら、土方さんに特別任務貰ってんだ」




< 171 / 305 >

この作品をシェア

pagetop