拾われた猫。Ⅱ
「言う事を聞かせられるのは香月だけか?」
顎に手を当てて、猫又を見ながら神妙な表情をするトシにコクリと頷く。
一には確かに敵意を示さないノアだが、言う事を聞かせるまでには至らない。
「…猫又か…」
それだけ一言呟くと、私の方に向き直る。
「しっかり面倒見ろよ」
私にそう言うと、踵を返して戻って行った。
そしてノアは小さな姿に戻って、私の肩に乗った。
野次馬も興味が失せたのか、各自戻っていった。
私もノアとともにトシの部屋に向かおうとしたが、総司に引き止められた。
「雨ちゃん」
肩を叩かれて、弾かれるように振り向いた。
首を傾げる私に、総司と平助が微笑む。
そんな彼らに〝?〟だけが頭に浮かぶ。
「俺ら、土方さんに特別任務貰ってんだ」