拾われた猫。Ⅱ
更に浮かぶ頭の〝?〟に2人はクスクスと笑った。
「ほら、行くよ」
平助に外套を被せられ、総司に手を引かれる。
それから随分歩いて、道中もどこに行くのかは教えてもらえなかった。
なされるがままの私を連れてきたのは、城下だった。
祭囃子の中にどんどん入っていく。
「今日は城下で祭りがあったんだ。
素直じゃない土方さんが、『たまにはいいだろ』ってさ」
ニッと笑う平助に目を見開く。
「『素直じゃない』…ねぇ。
平助のくせに言うようになったんだね」
「俺のくせにってどういう意味だよ!
…でも土方さんには言うなよ」
いつもみたくからかいからかわれの彼らに、少し笑いながらトシを思い出す。
あの人は仏頂面のくせに随分と心配性だ。
「雨ちゃんの好きな所から回ろう」
ポンッと頭を撫でて、優しく微笑んでくれる。
彼らはいつから私にこんなにも甘くなったのだろう。
私はいつから彼らにこんなにも心を許せるようになったのだろう。