拾われた猫。Ⅱ
「雨ちゃん、楽しい?」
「うん」
笑顔でそう答えた私に、彼らは微笑み返してくれた。
平助は思いついたように手を叩く。
「もう少しで花火があるんだ!
いつも左之さんたちと見る所があるから、そこ行こうぜっ」
私の手をグイグイ引く平助に連れられ、穴場とやらに行く。
「へぇー。
いつも男3人で見るんだね、寂しい」
「うるせぇよ!
花火見ながら酒飲むとうめぇんだぞ!」
来て早々にからかわれる彼は顔を真っ赤にしながら言い返す。
それからしばらくして、花火が打ち上がった。
電柱とかそんな邪魔が入らない夜空に花開く姿は、一段と綺麗に見えた。
左之にも…見えているのだろうか。
ふとそんな事を考えるのは、多分平助から左之の名前が出たから。
そうに違いない。