拾われた猫。Ⅱ
軽く総司を睨むと、満足気に笑って見せた。
「はぁ…。
どこでも良いから座ってろ」
近くにいたトシが呆れたようにそう言ったので、私も小さく溜め息をつく。
パッと平助と目が合ったが、平助は苦笑を浮かべるだけだった。
「そんなことはどうでもいい。
これからする話は悪い話だ」
凛としたトシの声が走り、弾かれたように全員の姿勢が良くなる。
それと同時に緩まっていた空気が張り詰めた。
「…先程、山崎から手紙が届いた。
内容は〝城の襲撃があった〟そうだ」
その一言に辺りがどよめく。
「落ち着け!」
力強い一喝でどよめきは一掃された。
トシは1人ずつの顔を見て、フゥッと息を吐く。
「負傷者多数、死者は今のところはいない。
…近藤さんも負傷した」
ドクンッと音が変わった気がした。
おおらかに笑うあの人の顔が浮かんだ。