拾われた猫。Ⅱ
チラリと隣を見る。
自然と目が見開いて、その表情から目が離せなくなった。
「近藤さん…っ」
少しの悲しみと多くの怒り、大きな後悔。
負の感情だらけの殺気。
眉を寄せて、目を見開いて、拳を血管が切れそうな程握りしめて。
立ち上がる総司をトシが止めた。
「落ち着け、総司」
「……」
ピタリと止まったけど、もう一度腰を下ろそうとはしない。
そんな彼をトシは睨みつけた。
「お前がどれだけここを…近藤さんのことを思っているかは知っているつもりだ。
…だがな、我慢しているのはお前だけじゃねぇんだ」
ハッとして周りを見回すと、平助の表情が歪んでいた。
今にも動き出しそうになる足を必死に抑えるように膝を握っていた。
トシは「落ち着け」と言った割に、拳が震える程握られていた。
「…どうするの?」
そう言った私の声はトシの肩を揺らした。
深い眉間の皺をもっと深くして息を吐いた。