拾われた猫。Ⅱ
その時だった。
小屋の東の方、城がある方向からだった。
「ドォォオン!!!!」という、爆発のような地響きが鳴り響く。
「おいおい!
こりゃなんの音だ!!!」
先程まで能天気に話していた雰囲気は一変したのだ。
「近藤さん!
どうする?!!」
原田左之助が指示を求める。
「総員、城へ向かう!!」
近藤勇の声が全員の耳に届く。
「局長!
上の命令はよろしいのですか?」
近藤勇の側にいた隊士が、恐る恐る言葉を発する。
「やむを得ん!!」
その言葉に反射するように、口角を上げる永倉新八と表情を変えない斎藤一が先陣を切り、出入口の戸に手をかける。
『?!!』
その時に2人はようやく気づいたのだ。
「…戸が開きません」
冷静な声が広がる。
全員がそこで驚愕するのだった。
ここの戸は何故かそこまで薄くはない。
つまりは閉じ込められたということになる。
空間全体に緊張が走ったのだった。