拾われた猫。Ⅱ
やっぱり、牢についてからじゃないと動けそうにない。
その間に事態が収束していては意味が無い。
誰だか知らないけれど、タイミングがいい。
その時だった。
「おい!
お前新選組の?!!」
「うぃーっす」
「お前何でここに?!」
「どうでもいいんすけど、その人返してもらっていいっすか?」
呑気な聞きなれた声が聞こえる。
入れ物がガタガタと揺れて、下に置かれた音と感覚。
それと同時に兵たちのが刀を構える音が聞こえた。
「あちゃー…。
あんまり問題起こしたくないのになぁ」
「お前がここに居ること自体が大問題だ!
新撰組局長の首は免れないぞ!!!」
「うははっ!
それはやばいっすね」
豪快な笑い声と、刀が抜かれる音。
「でも…あんたらがいなくなれば、知ってる奴はいなくなる…」
氷よりも冷たい殺気と、一瞬の喧騒が終わる。
刀の交わる音というよりは、誰かが倒れる音だけ。