拾われた猫。Ⅱ



ノアはじっと2人を見つめる。


意図が分からない彼らは顔を見合わせて、首を傾げる。



「迷子か?」

「いつもは雨ちゃんと一くん以外には警戒しまくってるのに、珍しいよね」


2人が顔を見合わせている間に、ノアは沖田総司の着物の裾を引っ張った。



「…ノア?」


不思議そうに見ていると、今度は藤堂平助の裾を引っ張る。


「どうしちゃったんだ?」


頭に「?」を浮かべる。



「…ノア、雨ちゃんに何か…あったの?」


沖田総司が抱き上げると、言葉が分かったかのように「にゃあ」と大きめに鳴いた。


沖田総司は顔をしかめる。

そしてノアを下に下ろす。



「平助、僕はノアと一緒に雨ちゃんを探しに行く」


振り向いた時だった。


「…お前ら」


鋭い眼力が彼らを射抜いた。



「土方さん…」


苦虫を噛み潰したような声で、眼力の主を呼んだ。



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