拾われた猫。Ⅱ
「はぁ…」
深い溜め息が漏れる。
それからまたぐっと彼らを睨むと、紙を彼らの前に突き出す。
「女王陛下側近から正式な命令だ。
城が襲撃されたそうだ」
沖田総司と藤堂平助は顔を見合わせる。
「…出るぞ」
土方歳三の言葉にニヤリと口角を上げる2人。
ドスドスと歩き出す背中を2人が追う。
「…でも土方さん、なんか変じゃないですか?」
「あぁ、同感だ」
彼らの会話に藤堂平助が首を捻る。
そんな彼を見て、沖田総司が呆れたように笑うと説明を始めた。
「今回女王陛下が僕たちを呼ぶのが遅すぎるってことだよ。
大体、この時期に城に来いって言うのもおかしな話だしね」
それでも更に首を捻る彼に見兼ねて、土方歳三が再度溜め息をこぼす。
「何も無ぇのに呼ばれ、事態が起きたという報告はあったものの、応援要請は無かった。
なのに、その数日後に来た応援要請。
初めから俺たちを呼んでおけば良かったのに、こんなことになってから呼ばれたってことだ」