拾われた猫。Ⅱ



藤堂平助はハッと目を見開いた。



「初めは…何も起きてなかったってことじゃねぇのか…?」

「そういう事だよ」

「じゃあなんの為に?

…もしかして…雨を…?」



「ご名答」とでも言いたいのかというように、二人の顔つきが険しくなる。


藤堂平助の顔を少し青ざめる。



「雨、もしかしてもう…」

「捕まってるって考えるのが順当だろうね。

それに、雨ちゃんことだからそれも計算してただろうし」



苛立ちを隠せない表情は殺気を漂わせる。


3人が大広間に着く頃には、もう全員集まっていた。



「単刀直入だが、女王陛下からの御達しだ。

城が襲撃されているようだ。

俺たち全員城に来いとのことだ」


ザワザワと大広間が騒がしくなる。



「隊服に着替えたらすぐに出る。

全員、覚悟しておけ」



凛とした彼の声が伝わる。


土方歳三の声で全員が動き始めた。



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