拾われた猫。Ⅱ
◆◇◆◇◆


近くで爆発が鳴り響く。


兵たちの声が聞こえ、騒がしい。

地面が少し揺れる。


ここは爆発物が無いのか、爆発の気配は無い。




「…こんな所に新撰組がいるとは思えないんだけど」


立ち止まった彼の背中に問いかける。



「うーん。

俺もこんな所に局長たちがいるとは思えないっすね」



くるりと振り返り、両手を腰に当てながらあっけらかんに笑う。


意図が分からず、苛立ちがふつふつと募っていく。




「そもそも…、あんたはもうあそこにいるべきじゃないんすよ」


翔は笑っているのに、眼光が冷たくなる。


次の言葉を待っていると、彼は突然近くの瓦礫に腰をかける。




「ここには爆発物は仕掛けてないのに、ちょっと被害がでたんだなぁ」


「ハハッ」と笑う。



少し頭を掻くと、再び私を見る。




「新撰組は居心地がいいっすね。

俺もちょっと離れ難いっす」


訳の分からない言葉ばかりで、翔の真意は分からない。




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