拾われた猫。Ⅱ


山崎の話した内容はこうだった。


戦闘が始まる前に俺たちは、城より少し外れた倉庫に詰められていた。


その少し前に山崎は赤木に呼ばれており、新撰組のことをよく聞かれたそうだ。


新撰組のことを一番よく考えているのは誰だと思うか。

近藤局長のことを一番よく尊敬しているのは誰だと思うか。


そんな訳の分からないことばかりを。

疑問に思いながら、知られて不味いことではないと判断した為、全て正直に話したらしい。


そこまで聞いた時点で、俺は悪い予感がした。


新撰組の事を一番よくって、そりゃ俺達も考えてはいるが、一番は〝土方さん〟だと皆が皆言うだろう。

近藤さんを一番尊敬しているのも、誰が見ても〝総司〟しか思いつかねぇ。


「彼女はそこで笑い始めた。

そして計画通りと言わんばかりに、数十人の兵士が部屋に入って来て、俺を取り囲んだんだ…」


その後は簡単だ。

近藤さん、いや、俺達の首とある条件を天秤に掛けられた。


〝自分の居場所を己のせいで無くしたくなければ、私の言った通りに文を出せ〟と。


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