拾われた猫。Ⅱ
何気なく門の方を見た時、翔が入ってくるのが見えた。
「雨ちゃん、私はちょっと外すから、体には気をつけながらお散歩してね」
コクッと頷く彼女に微笑んで、翔の方へ向かった。
近くまで寄れば、私に気づいてニコニコと笑う。
「美華さんっ、お出迎えしてくれてんすか?」
「馬鹿言ってないで…。
新撰組の事何か掴んだんでしょ?」
彼らの名前を出すと、翔は「あー…」と歯切れ悪く、先程までの笑顔が引き攣る。
我慢強く翔の目を見つめると、観念したかのように口を開く。
「実は、一葉さんからは近藤さんが雨さんの事を何も吐かない限りは殺されることは無いからとりあえずは大丈夫だろうって言われてたんすよ…。
そのより、赤木の雨さんに対する執着の方が気になるからそっちを優先的に調べるようにって」
翔の顔少しずつ下を向く。
次の言葉に戦慄が体を駆け回った。
「〝近藤さんの打首と新撰組の解体〟が決まりました…」