拾われた猫。Ⅱ
「雨ちゃん、上手く逃げられたってことだよね」
「でも、賢い雨が近藤さん達を置いて逃げるのは考えにくいぞ!」
「…それは後だ。
反逆ってのはどっから出てきやがった」
混乱する三人は、とりあえず隊士を下がらせた。
土方歳三は目を閉じ、収集を受けたところからもう一度思い返す。
推測できることは一つしか無かった。
「…赤木」「やられたな…」
沖田総司と土方歳三の声が重なる。
お互い目を合わせ、お互いの考えを悟る。
未だに?を浮かべる藤堂平助に、二人が説明を始める。
「多分、雨ちゃんは一度赤木に囚われたんだ。
でも何らかの理由で逃げられた。
そして幸か不幸か、そこで何者かが手引きした軍と戦闘が始まってしまった」
「そこに手一杯になった赤木は香月の消息が掴めなくなったんだろう。
それを全部近藤さんと新撰組のせいにしたいって訳だ。
軍を手引きした奴の手がかりすら掴めなかったんだろうな」
限界まで目を見開き、声を失う藤堂平助。
「どうします?
ここで動けば本物の反逆になっちゃいますよ…」
「かといって、大将の打首なんざ認められねぇ」
「俺達をここに閉じ込めたのも、兵士に監視させるためだったってことか…!」
三人の体に冷や汗が伝っていた。