拾われた猫。Ⅱ
第九章
制限時間
一葉たちから逃れたはいいけど、ここがどこだか定かではない。
高い所から見てみるのが一番いい。
追われる時は、高い位置につくのはあまり良くない。
けど、一葉達は私の行き先を知っている以上、ここらで私を探すことは無いはず。
森の中に入り、一番高い木を探す。
全体を見渡すにはまだ低い。
この世界には高層ビルというものは無い。
展望台ももちろん無い。
「万事休す…。
早く行かないといけないのに」
焦りが募る中、近くの茂みが揺れる音が耳につく。
あまり大きな足音は聞こえなかったし、兎か?
揺れる茂みから目を離そうとした瞬間、ひょこりと顔を出し、鳴き声を上げた。
「にゃ〜」
私の気配に気づいているのかいないのか、今いる木の周りをクルクルと回り始めた。
そしてもう一度鳴く。
勢いよく下に降りると驚いたのか、ぴょんっと跳ねた。
少し警戒する姿勢をとったが、すぐに私に気づき、飛びついてきた。