拾われた猫。Ⅱ


翔が一葉に情報の全てを渡すのを待つべきだった。


あの人の存在を気にしすぎて、事を性急にしすぎた。


後悔しても後の祭り。

今はもう敵地での情報収集しか無い。


いっその事暴れまくるという手もある。

リスクが高すぎて最後の手段にはなるけど。



頭を抱えていると、城入口の方でザワザワと騒がしい。


周りを警戒しながら、入口近くの置物の物陰に移動する。



「俺は新撰組副長、土方歳三。

こっちは八番隊隊長、藤堂平助。

赤木殿にお会いしたい!」


警備兵に取り次いでいるのは、鬼の形相のトシだった。


トシ達の耳にも勇の状況等が耳に入っていたらしい。



「赤木様はお忙しい。

お会い出来るのは二日後だろう」


マニュアル通りのような台詞でトシ達が納得するわけが無い。


「こっちは大将の首が掛かってんだ!!

今すぐに取り次いでもらわねぇと困る!」


ドスの効いた声に対応している兵士は、少したじろぐ。


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