拾われた猫。Ⅱ


その喧騒にワラワラと警備兵達が集まってくる。


「と、とにかく!

今無理だ!

兵士舎で大人しく沙汰を待っていろ!」

「待ってられるわけねぇだろ!

大将の首が掛かってるって言ってんだろうが!!」


今にも切れそうな血管を浮かばせるトシ。


すぐに戦闘になったり、斬られたりすることは無いだろうけど、こっちもこっちで見ていられない。


私は眉を寄せて、溜め息をつく。


多分一葉達はこっちに向かっている。

あるいはここに着いているかもしれない。


一葉が何を考えて私と新撰組を引き離したのかは分からないけど、目的を知られている以上、私が見つかるのも時間の問題。


せめて、少しでも役に立ってあの人に見つかったとしても、誰かに引き継げれば糸は繋がる。


二人には悪いけど、この場を利用して奥に行くしか…。


迷っていると、不意にトシと目が合う。


考えばかりに気が取られて、隠れるのが疎かになっていた。

心臓が大きく脈打ったが、トシ以外には気づかれていないようだった。


< 266 / 305 >

この作品をシェア

pagetop