拾われた猫。Ⅱ
その喧騒にワラワラと警備兵達が集まってくる。
「と、とにかく!
今無理だ!
兵士舎で大人しく沙汰を待っていろ!」
「待ってられるわけねぇだろ!
大将の首が掛かってるって言ってんだろうが!!」
今にも切れそうな血管を浮かばせるトシ。
すぐに戦闘になったり、斬られたりすることは無いだろうけど、こっちもこっちで見ていられない。
私は眉を寄せて、溜め息をつく。
多分一葉達はこっちに向かっている。
あるいはここに着いているかもしれない。
一葉が何を考えて私と新撰組を引き離したのかは分からないけど、目的を知られている以上、私が見つかるのも時間の問題。
せめて、少しでも役に立ってあの人に見つかったとしても、誰かに引き継げれば糸は繋がる。
二人には悪いけど、この場を利用して奥に行くしか…。
迷っていると、不意にトシと目が合う。
考えばかりに気が取られて、隠れるのが疎かになっていた。
心臓が大きく脈打ったが、トシ以外には気づかれていないようだった。