拾われた猫。Ⅱ



「…牢からどうやって出たのだ。

兵士舎の者が見張っていたはずでは無いのか!」


怒りと絶望と少しの焦りを混ぜて怒鳴る彼女に、意外な人物が高笑いした。



「ハッハッハッハッハッ!!!」


彼女だけではなく、そこにいる全ての者が傷ついている彼にギョッとした目を向ける。


子犬のような瞳で、「近藤さん遂に気が触れたんじゃ…」と声を潜める彼に拳骨を入れる鬼。


緊迫した雰囲気の中、彼らの漫才のような行動のおかげで、5℃くらいは上がった気がした。



「お前達はいつでも騒がしく、危なっかしい。

おちおち死んでも居られないではないか」



勇は弱々しくも優しい瞳を彼らに向け、彼らもまた照れくさそうに優しさを返した。



「貴方にだけは言われたくないですよ、近藤さん」


フッと微笑みながら総司は勇に近づき、甲高い音と共に鎖を切る。



自由になった四肢で立ち上がったかと思うと、ぐらりと体が揺れた。


すかさず総司が支えると、「ありがとう」と俯いたまま呟く。


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