拾われた猫。Ⅱ
それにしても、あのクナイは…。
そっと後ろを振り返ったけど、姿も気配も追えない。
間違いなくあれは…一葉の物だ。
その時、突然発された「ダンッッッ」という大きな音で、私達は一斉にそちらを向き、警戒態勢を取る。
どうやら赤木が、鞘から抜いていない刀を地面に打ち付けたらしかった。
「どうやって牢から出た…。
兵士舎を見張らせた兵士はどうした?!!」
少しの絶望と焦りを募らせた怒声が響く。
「あー、よく見知った奴が来てな。
快く牢の鍵を開けてくれただけだ。
そんなに気にするなよ」
佐之はおちょくるように笑みを零す。
「兵士舎は総司曰く、物音がして外見てみたら兵が全員倒れてたらしいぜ。
俺達はなーんにもしちゃいねぇから、こっちも気にする必要はねぇぜ」
佐之と打ち合わせたかのように、続けてニヤリと笑う平助。
「ちなみに僕が確認した時は死んじゃなかったよ」と付け加えた。