拾われた猫。Ⅱ
今度は得意げに笑う彼女に、少し笑みが零れた。
新八と平助だけは彼女を見ながら、状況が掴めていないのか、未だに口をパクパクと開け閉めしている。
状況をいち早く察知した一が彼女に刀が届く位置まで来ていた。
「待って、一」
そう言って口に人差し指を添えた私に、刀に置いていた手を緩めた。
そしてハッと目を見開き、こくりと頷く。
「私も倒れてる暇は無いし、総司も勇を抱えてる暇はないらしい」
その言葉に新撰組の幹部連中は全員顔を歪めた。
赤木も初めからすんなり終わるとは思っていなかったようだ。
遠くから聞こえてくる大量の足音。
万が一の時、自分の怒声で集まってくるように仕向けていたらしい。
「総司、美華さんに一旦勇を預けて」
私がそう言うと、苦虫を噛み潰したような表情を向ける。
「…その女は香月を攫った一味にいた」
一の一言で総司の殺気が一気に放たれた。