拾われた猫。Ⅱ
「総司、時間が無い。
幹部しか揃ってない今、返り討ちにあってもおかしくない」
〝貴方達のような戦闘には向いてない〟とは言っても、一葉がここに行く事を許している。
という事は、私達の後ろで勇を守るくらいは出来るはず。
少しずつ足音は大きくなってくる。
やっと聞こえたのか、安全な場所に座っている男達は揃いも揃って安堵の表情を浮かべている。
「信用出来るわけ?」
私を睨む彼を真っ直ぐ見返す。
「美華さんの事は信用しなくていい。
でも…私を信用して」
近づく足音の中、軽い睨み合いが続く。
けれど、ここは総司に引いてもらわないと困る。
沈黙を破ったのは、意外な人物だった。
「原田、総司に手伝って近藤さんをあの女と一緒に後ろに連れて行け」
「分かった」
トシの言葉に待ってましたと言わんばかりにテキパキと動き出した。
そんな彼らに総司は溜め息をつく。