拾われた猫。Ⅱ
「分かりましたよ…、僕の負け」
呆れたように笑って、チラリと私に向く。
そしてすぐ、トシの方を向く。
「その代わり、その子と近藤さんの一番近くは僕がつきますよ」
「勝手にしろ。
そして早くしろ」
出口から一番遠い位置に陣を置く。
人数からすれば薄っぺらいけど、絶対に破らせない。
ギロリと赤木を睨むが、余裕の笑みが返ってくる。
もう勝ちを確信しているのか、腹立たしい。
「変な動きしたら斬っちゃうからね」
後ろで物騒な声が聞こえたけど、美華さんの事だからそんな風にはならないだろう。
一度や二度会ったくらいの仲で、どうしてか謎の確信があった。
自分でもおかしいと思うけど、そんな事は考えてられない。
「もう体は大丈夫なのか?」
足音が目前までする時、そっと問いかけてきたのは佐之だった。
久しぶりにまじまじと彼の顔を見た。
首を縦に振ると、安堵したように笑い、くしゃりと頭を撫でられた。