拾われた猫。Ⅱ
今度は戻ってきた意識で目の前の兵士を自分で沈める。
「雨ちゃん、どうしたの?
らしくないね」
総司は少し前に出て、私の横で刀を構える。
「ごめん…。
急に体が重くて。
ちゃんとする」
そう言いながらも、さっきよりも格段に動きづらくなった体に苛立ちを覚える。
奥歯をギリッと噛み締めた。
「総司」
ふと今度は佐之が総司の横まで下がってきた。
前を警戒しながらも、彼の呼び掛けに耳を傾けるようにちらりとそちらを向く。
「こいつ、熱がある。
さっき抱き寄せた時、体が熱かった。
らしくないのはそのせいだ。
頼んだぞ」
それだけ言うと、また前へと走っていった。
またボーッとし始める頭を横に何度も振る。
そんな事気にしている場合じゃないのに。
一人でも戦力が欲しいのに、一人でも欠けるのは厄介な事この上ない。
眉に力を入れるけど、頭に響いてくる金属音が遠くに感じる。