拾われた猫。Ⅱ
「…え?」
総司に抱きすくめられている事に、一拍子遅れて気づく。
「後は僕が何とかするから、今度は雨ちゃんが後ろで彼女のこと見張っててくれない?」
優しく笑うと、美華さんの居るところの近くに座らされる。
立ち上がることの出来ない私はゆっくり向けられる背中を黙って見ていることしか出来なかった。
「雨ちゃん!」
やがて倒れそうになった上半身を美華さんが支えた。
項垂れる頭にベタついた髪が垂れ下がる。
その間で見た彼女の瞳から流れるのは、雨なのか涙なのか。
あぁ、意識が飛びそう…。
駄目、刀を構えて。
ちゃんと立ち上がって。
思えば思う程、体の力が抜けていく。
「やっぱりまだ、体が戻ってなかったのね…。
貴女を止められなくてごめんなさいっ…!」
苦しそうな彼女の顔は、ずっと前にも見たような気がした。
気の所為のような、そうじゃないような。