拾われた猫。Ⅱ
「何?」
座り込んで項垂れて絶望する私の前に、平然と声が掛かる。
ゆっくり、出来る早く顔を上げる。
私の目の前に立つ二人。
外套の下から顔を覗かせる。
「ありゃー、雨さんやっぱ体まだ駄目なんじゃないっすかー」
ケラケラと笑って彼の横で、変わらなく冷たい雰囲気の横で、じっと物言わぬ彼。
私の言葉を待っているように、ただ目を真っ直ぐ見る。
「…気まぐれ?」
呼んだ自分が嫌になる。
口から出た言葉にもっと嫌になる。
彼は未だにじっと私から目を離さない。
まだ待っている。
沈黙の中、私はゆっくりと動く。
這うように、情けなく。
彼の外套の裾を握りしめる。
子供のように小さくなりながら。
「…助けて」
ポツリと呟いた。
自分の行動に顔から火が出そうな程情けない。
私の命と引き換えにこの場が収まって、全員仲良く平和に帰れるならそうしてる。
でも、私には出来ない。
何も……出来ないから。