拾われた猫。Ⅱ
雨のせいか潤んだ瞳は、私から逸れなかった。
「新撰組の彼らが傷つくのを見るのは怖いでしょう…?
でも彼らは自分達が傷ついても守りたいものがあるのよ。
貴女がその気持ちを無駄にしては駄目!」
咄嗟に桜牙を掴み、彼女を抱き寄せる。
ここまで辿り着いた兵士の刀を桜牙で受け止めると、美華さんが兵士に向かって口から針を飛ばした。
「うっ…!」
バタリと倒れ込んだ兵士の首に突きたっていたのは、多分即効性の薬が塗ってあったのだろう。
よろよろと腕を下ろす私。
「大丈夫?!
ごめんなさい、私…!」
今度は眉を下げて、私を見つめる。
美華さんの表情は面白いくらいによく変わる。
その事に少し笑いが漏れた。
彼女は首を傾げながら困惑している。
それにまた笑いが漏れた。
「私は大丈夫。
…ごめん、ありがとう」
安堵したのか、優しく微笑んでくれた。
瞼が少しずつ下がっていく。
今日は…大人しく守られよう…。