拾われた猫。Ⅱ
「はぁ…」と溜め息をついた。
まるで、自分は帰りたくないみたいじゃない…。
いや、『みたい』じゃない。
『帰りたくない』んだ。
このことを皆が知ったらどうするだろう。
私が帰れるように協力してくれる。
……もしかしたら、引き留めてくれるかもしれない。
フッと自嘲気味に笑って、前髪を外套ごとくしゃりと掴んだ。
浅ましい。
「あーめ、百面相してるぞ」
グニッと頬をつままれた。
「ひぇーふけ」
「フハッ!
今俺の名前呼んだ?」
頬から手を離して、今度は撫でてくれるけど、本人は笑いが止まらないらしい。
「悪ぃ悪ぃ」
笑いが止まったのか、眉を下げて苦笑した。