拾われた猫。Ⅱ
平助は自分の眉間を指さした。
「ここにずっと皺寄ってたからさ」
ニッと笑った彼は私を安心させる。
「あのさ、雨」
スッと真剣な表情に切り替わった平助に私も表情を変える。
「俺さ、……雨が笑ってないと嫌だ」
何かを言いかけたけど、やめて別の言葉を言ったようにも見えた。
でも平助の言葉は単純に嬉しかった。
「…ありがとう」
いっぱいになる胸を片手で握りしめる。
……今はまだ、この甘さに浸っていたい。
屯所に着いて、平助はトシに報告に向かう。
私は自分の部屋で、刀や暗器を置いた。
多少は身につけるが、最近は部屋に置いておくことが多くなった。