拾われた猫。Ⅱ
藤堂平助はチラリと土方歳三を見て、気まずそうに紅い髪の少女に視線を移した。
「すごく似てるんだ。
…さっきの男と雨の雰囲気」
土方歳三と斎藤一は山南敬助に視線を寄越す。
山南敬助はコクリと頷く。
「…雰囲気どころか、飄々とした闘い方まで似てるよ」
珍しく表情に余裕のない沖田総司が、原田左之助が抱える少女を見つめながら悲しげにそう言った。
「隙だらけのはずなのに隙が無ぇとことか、軽い足取りでいつの間にか差が詰まってるとことかな」
顎と腰に手を当てながら、真剣な口調で口にしたのは意外にも永倉新八だった。
土方歳三はあの男が来た時のことを考えていた。
確かに言われてみれば、彼女と似通っているところがある。
彼自身の中でも、外套の男が来た時点で感じていた違和感。
それは、彼が少女を運んできたという事。
あれだけ警戒心の強い彼女が簡単に捕まるとは思えなかったのだ。