拾われた猫。Ⅱ
いい加減
ふわりと私を包む大きな体。
琥珀色の髪が頬をくすぐる。
ただの夢なのに、くすぐったいと感じるのだと感心していた。
「……」
しばらくして無言の私を離した。
てっきりいつものように余裕な笑みを浮かべていると思っていた。
それは見た事の無い表情だった。
怒っているような、悲しんでいるような。
どちらともつかない顔には涙なんて無いのに、泣いているような気さえする。
「……あの時、私の声が聞こえてはいなかったな」
小さく震える声音が胸を締めつける。
〝あの時〟とは私が暴走した時だと、言われずとも分かった。
声なんて聞こえていない。
けれど、彼の表情や声にモヤモヤしたものが胸を渦巻く。
これが、罪悪感というものなんだろうか。