拾われた猫。Ⅱ



半年程前は、自分がどこに居るのか分からなかった。




今や天井を見ただけで分かってしまう。



そのままの体勢で開いている障子の外を見る。



……私の部屋。



上半身を起こすと、頭がズキンと痛む。



額に手を当てながら、ぐるりと周りを見渡す。




出て行く前と何ら変わらない、平助が彩ってくれた部屋。



その隅には、菊さんが持ってきた私の荷物が置いてあった。




私は確か、外套の男に負けた。


その後…、気を失ったけどどうやって帰ってきたのかが分からない。



よく見れば着物も寝間着に変わっていた。




…デジャヴ?



そんなことを思いながら、キョロキョロとノアを探していると、障子の方からガタンッと何かを落とすような音が聞こえた。



ゆっくりそちらの方を見ると、勇が目を見開いて立っていた。



< 62 / 305 >

この作品をシェア

pagetop