拾われた猫。Ⅱ
半年程前は、自分がどこに居るのか分からなかった。
今や天井を見ただけで分かってしまう。
そのままの体勢で開いている障子の外を見る。
……私の部屋。
上半身を起こすと、頭がズキンと痛む。
額に手を当てながら、ぐるりと周りを見渡す。
出て行く前と何ら変わらない、平助が彩ってくれた部屋。
その隅には、菊さんが持ってきた私の荷物が置いてあった。
私は確か、外套の男に負けた。
その後…、気を失ったけどどうやって帰ってきたのかが分からない。
よく見れば着物も寝間着に変わっていた。
…デジャヴ?
そんなことを思いながら、キョロキョロとノアを探していると、障子の方からガタンッと何かを落とすような音が聞こえた。
ゆっくりそちらの方を見ると、勇が目を見開いて立っていた。