拾われた猫。Ⅱ
「お、おお起きたのか?!!」
そのままの状態で固まりながら、大きな声で私に尋ねる。
その声に私も目を見開きながらも、コクリと頷いた。
勇は固まっていた体を素早く動かして、私の近くに座る。
片手ずつ、自分の額と私の額に手を置いた。
「熱は無いな!」
焦った様子は少し安堵したようだった。
先程の様子とは変わって、やっといつもの穏やかな笑顔を見せてくれた。
「近藤さん、桶が落ちて水が飛び散って……る…」
あの時と同じく、次に来るのは総司だと勝手に想像していた。
でも今回は違って、そこに居たのは驚きを隠しきれない左之だった。
「おぉ!
そうだった、水浸しにしたままではトシに怒られてしまうな」
ハハハッと困ったように笑って部屋を出て行く勇とすれ違って、ゆっくり確かめるように私に近づいた左之。
初めは私の頬にそっと触れられた。
その手は首に落ちて、肩で止まった。