拾われた猫。Ⅱ




「総司、起きたばかりの奴に抱きついてんじゃねぇ」



凛とした声が障子の方から聞こえた。



総司はグチグチと文句を言いながらも、その声に従う。




「雨っ!

やっと起きたんだな」



鬼の後ろからひょこりと顔を出して中に入ってきたのは、大きな瞳が特徴的な少年だった。



「平助…、私どれくらい寝てたの?」





私が倒れたのは夜だった。


けれど、今は昼下がり。


1日以上寝ていたのは確か。


1日だけにしては、体が重く動かしにくい。




「…1週間だ」




私の疑問を解消したのは平助ではなかった。




天然パーマの藍色の髪は相変わらず無口で必要以上の事は喋らない。



それでも彼は優しさは誰もが知っている。



おぼんに乗せた雑炊を私の前に置く。



< 65 / 305 >

この作品をシェア

pagetop