拾われた猫。Ⅱ
「総司、起きたばかりの奴に抱きついてんじゃねぇ」
凛とした声が障子の方から聞こえた。
総司はグチグチと文句を言いながらも、その声に従う。
「雨っ!
やっと起きたんだな」
鬼の後ろからひょこりと顔を出して中に入ってきたのは、大きな瞳が特徴的な少年だった。
「平助…、私どれくらい寝てたの?」
私が倒れたのは夜だった。
けれど、今は昼下がり。
1日以上寝ていたのは確か。
1日だけにしては、体が重く動かしにくい。
「…1週間だ」
私の疑問を解消したのは平助ではなかった。
天然パーマの藍色の髪は相変わらず無口で必要以上の事は喋らない。
それでも彼は優しさは誰もが知っている。
おぼんに乗せた雑炊を私の前に置く。