拾われた猫。Ⅱ
「…食べられるか?」
「ありがとう、一」
たった1週間。
でも当分会っていなかったような、皆の優しさが懐かしく感じた。
自然に笑顔になる。
けれど、すぐに表情を戻す。
「菊さんは帰ったの?」
次の疑問には、その場にいた全員が顔をしかめた。
その表情で全てを悟る。
彼女はまだここにいる。
「私が居ちゃ悪いわけ?」
いつの間にか、彼女は部屋の出入口前に立っていた。
菊さんに視線を向けると、彼女は顔を赤くして目を剥いた。
「私は貴方に毒を盛ったのよ?!!
どうして生きてられるの?!」
ヒステリックな彼女もやっぱり相変わらずで、溜め息を零す。
「そんなことを言う前に、あんたには言うべきことがあるだろうが」