拾われた猫。Ⅱ
菊さんの後ろから聞こえた声は、意外にもいつもは平助と一緒におどけている人だった。
菊さんは後ろを振り返り、その男を睨みつける。
「私に謝れというの?!
王家の血を引くこの私に?!!」
彼女の怒りは新八に向き、彼もまた溜め息を零す。
「新八、巡回の報告を」
そんな彼に助け舟を出したのか、話を先に進めるトシ。
新八は思い出したようにトシに視線を移し、トシの側に腰を下ろした。
「町に異常は無ぇが、土方さんが欲しい情報は無かった」
「そうか……」
トシの眉間の皺が深くなる。
「ちょっと!!
私の質問に答えなさい!」
彼女の叫びに雰囲気は軽くなったものの、一同面倒くさそうにするだけだった。
そんな中、総司だけが彼女の方を向いて殺気立つ。
「君さ、自分のした事分かってるの?
王家の血に感謝しなよ。
本当だったら斬られるくらいじゃ済まさないよ?」
総司は立ち上がりながらそう言って、彼女の目前に立って上から威圧しているようだった。