拾われた猫。Ⅱ
「おや、香月くん。
起きられたのですね」
綺麗な笑顔で私に問いかける。
コクリと頷くと、「おはようございます」と言って空いているところに座った。
その後ろから翔も入ってきた。
私の後ろに座ったと思ったら、例の如くまた抱きつかれる。
「雨さんの抱き心地最高っすね!
1週間も我慢してたんすから、いいっすよね」
語尾に♪でも付くんじゃないかというくらいにご機嫌だった。
「重いんだけど…」
私の言葉にもお構い無しだった。
「その腕無くなるのと離すの、どっちがいい?」
総司の笑顔にパッと手を離して、叱られた後の子犬のようにシュンとなった。
「おぉ、人が集まったのだな」
縁側を拭き終えたのか、穏やかな笑みを見せて入ってくる勇と源さん。
「手伝ってもらってすまんな、源さん」
「いえいえ」
そんな会話をしながら部屋に入ると、障子を閉める。
その瞬間、一斉に表情が変わった。