拾われた猫。Ⅱ
「そんなに睨まないでくださいよ。
雨ちゃんはきっと見つけやすいですから」
ほかの3人を無視して、土方歳三に話しかける。
「どういうことだ、総司」
そう聞かれて、沖田総司は自慢気に手に持っていたそれを見せた。
「…雨の外套…、まさか…!」
一番に反応したのは原田左之助だった。
その正面で、土方歳三は疲れたように瞼を伏せる。
「おいおい左之、どういうことなんだよ?」
永倉新八同様に首を傾げる藤堂平助の2人を見て、気まずそうに説明を始める。
「雨はあの男に連れてこられたあの夜、外套をしていなかった。
…それは、あいつの髪色を見た奴がいるという事だ」
それだけ聞いて2人はハッと目を見開いた。
障子の近くで呆れたように笑う。
「あの子の髪はいつでも目立つからね。
聞き込みすればすぐ見つかるんじゃないんですか?
…ねぇ、土方さん」
沖田総司の問いかけに、土方歳三は眉を寄せる。
その他の3人の顔を見渡す。
「雨ちゃんの事だから、もう菊さんの所に辿り着いてたりしてね」
追い討ちをかけるように言う彼の言葉に、また一つ溜め息をつく。