拾われた猫。Ⅱ
男の1人は彼女に髪を引っ張る。
「痛い!
止めなさい!!」
彼女は誰にも何も言わずに町に出た。
なんということない、彼女の思惑がそうさせた。
自分の危険は伝えられていたのに、敢えてそれを利用しようと考えた。
「お前のせいでな!
俺の仲間は殺された!!」
「お前があの女を好きなようにしていいって言ったくせに!!」
「お前のせいで俺たちの同志が……!!」
口々に言う彼らの前に彼女はただただ放心状態だった。
ヒリヒリと痛む頬を隙間風が撫でていく。
彼女の前にギラリと見せつけられるそれに、体がカタカタと震えていく。
「わ……私は…、王家の血筋よ……?
そんなこと……」
「んなこと知るか!!」
振り下ろされるそれに、彼女は震えながら見ているしか出来なかった。
その時、建物内に響き渡る大きな音とともに扉が蹴破られた。