拾われた猫。Ⅱ
また1歩と近づく私に、ハッとしたように震える刀を菊さんの首元に当てる。
「止まらないと殺すぞ!?!!」
「だから殺せばって」
馬鹿にするように半笑いで言った私に、開いた口が塞がらないようだった。
それは菊さんも同じだった。
「ま、待ちなさいよ!!
私は王家の血筋よ!
この私が殺されるのよ?!!」
声を張り上げた彼女にただ首を傾げた。
「だから?
私には関係ないし、私が殺すわけじゃない。
幸いここには私とあんたらしかいない。
私がここに来た時は死んでたってことにすれば何の問題もない」
首の後ろを掻きながら、「門限までに帰らなきゃいけないし」と付け加える。
菊さんは悔しそうに顔を歪めた。
「人質とか正直めんどくさいからね。
この問題が対処出来ればそれでいい」
刀を抜きながら言い放ち、ゆっくりと近づく。
残りはあと5m程。
男たちはギリッと悔しそうに食いしばる。
「…せめて、お前だけでも!!!」
気がおかしくなったのか、1人の男が刀を振り下ろした。