イジワル社長は溺愛旦那様!?

(澄川さん、しおれてる……)


よくわからないが、話は終わってしまったようだ。
業務内外の神尾のことを、秘書の立場からあれこれ聞かれるのかと思っていた夕妃はホッと胸を撫でおろした。

やがて三人の前に小さなスープとミニサラダつきのグラタンセットが並べられる。
こんがりと焼けたチーズがたまらない。ホカホカと湯気が立って実に美味しそうだ。


「おいしそーう! いただきまーす」


恭子が機嫌よさそうにフォークを持ち上げるのに合わせて、夕妃もフォークを持ち上げた。



「美味しかったね~」
「そうですね~食べたい食べたいって思ってたので、嬉しかったです」


休み時間、急いで行った甲斐があったというものだ。

それぞれに支払いを済ませたあと、ニコニコ笑う恭子に相槌を打ちつつ、夕妃は隣を歩く澄川を見上げた。


「澄川さんは、ヤケド大丈夫です?」
「う……うん……いひゃいけどらいじょーぶ」


澄川は口元を手のひらで隠しながらフニャフニャと返事する。


(痛いけど大丈夫……かな?)


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