イジワル社長は溺愛旦那様!?
「そういや基が、まだ間に合うからお前んとこも子供を作れって、会うたびうるさいんだよな」
湊が苦笑しながら、タブレットの電源を切って、ベッドサイドのテーブルの上に置く。
「あいつはワガママで自分勝手だから困るよ。デリカシーとか、まったく考えないんだから」
そして夕妃の頬にかかる髪を指で耳にかけ、頬にキスをした。
夕妃は編みかけの靴下をベッドサイドのカゴに置き、湊の顔を見上げた。
職場では目が合ってもニコリともしないが、ふたりの家では違う。
「夕妃はいつ見てもかわいいね」
湊は切れ長の目を細めてふわりと笑うと、今度は前髪をかきわけ額にキスをした。
甘いキス。優しい指先。
大事にされていると毎晩実感する、夜の時間。
夕妃としては、子供は近いうちに欲しいなぁぐらいのものだが、やはり授かりものということもある。そしてさらに正直にいえば結婚してまだ半年の現状では、ピンと来ないというのが正しかった。
それよりも、湊が基の話をするほうがずっと興味があった。