イジワル社長は溺愛旦那様!?
普段はクールで冷徹な印象を与える湊だが、親友である基の話をするときは、まるで印象が変わる。
子供のようなかわいい顔をする。
(もっと見たい……)
「基さんにすごく好かれてるんだね」
ワクワクしながら湊の頬に手を伸ばすと、湊は憮然とした顔になったが、そのまま夕妃の手のひらに顔をすり寄せた。
「あいつに好かれたって、別に嬉しくない」
「そうは言っても、湊さんだって基さんのことすごく好きなくせに」
夕妃が少しからかうような口調になったのは、そうやって煽ると湊が普段見せないような一面を見せるからだ。
実際、二十年以上続く友情というのは、なんだか不思議なもののように夕妃の目に映る。
「ちょっと妬いちゃうな」
それは素直な気持ちだったが、湊はさらに大げさに目を丸くして、それから唇をへの字にした。
「とんちんかんとはいえ、嫉妬の相手が、よりによって基か」
そして夕妃の後ろへと移動し、後ろから包み込むように抱きしめると、耳の後ろに唇を押し付けた。
「俺は夕妃にだけ愛されていればいいよ」
そして当然の流れで、湊の唇は音を立てて首筋を這っていく。